疲れた、老けた印象を与える下まぶたのクマ。
目もとの治療の中でも需要が多い疾患です。
今回は下まぶたのクマについて、病気の説明と治療についてお話しさせていただきます。
壁となっている眼窩隔膜やorbicularis retaining ligament(ORL)が弛緩することで眼窩脂肪が突出したり、
また、それらを支えている骨が委縮することにより
下まぶたの境目に段差ができることで認識されるもの、これが「黒クマ」です。
壁となっている眼窩隔膜、そしてorbicularis retaining ligament(ORL)の弛緩により眼窩脂肪が突出し、
そして、突出した眼窩脂肪が眼輪筋を圧迫することで血流の豊富な眼輪筋が薄い皮膚越しに透けて見えるようになったもの、それが紫クマです。
下まぶたに色素が沈着したもの、それが茶クマです。いわゆる「シミ」です。
3. クマの治療方法
茶クマは色素沈着なので、シミ取りのレーザーなどを当てる必要があります。
黒クマは眼窩脂肪の突出と骨の萎縮、紫クマは眼窩脂肪の突出が原因なので、骨の萎縮や眼窩脂肪の突出を改善させることが治療につながります。
頻度としては圧倒的に黒クマや紫クマが多いので、今回はこれらの治療を中心に述べます。
ヒアルロン酸はある程度の硬さがありかつ自由に成型できるので、萎縮した骨の部分に入れることで段差が解消しクマが目立たなくなります。
軽度の方はヒアルロン酸注入で改善しますが、それ以外の方は手術で治療します。
手術は、皮膚を切る「経皮」と皮膚を切らない「経結膜」に大きく分けることができます。
手術の流れですが、経皮の場合はまず皮膚を切開し、
眼窩隔膜と眼輪筋の間を剥離していき、
弛緩した眼窩隔膜とorbicularis retaining ligament(ORL)を切開し、
萎縮した骨の部分に眼窩脂肪を埋める。
その後、骨膜と眼窩脂肪を縫合し
たるんだ皮膚を切除したのちに皮膚を縫合します。
一方経結膜は、まぶたの裏(眼瞼結膜)を切開し、
眼窩隔膜と眼輪筋の間を剥離した後、弛緩した眼窩隔膜とORLを切開し、
骨の萎縮部に眼窩脂肪を充填させ、
眼窩隔膜と骨膜を縫合します。
切開した結膜は縫合した方が良いと思いますが、縫合しなくても傷はキレイに治ります。
経皮と経結膜の特徴を比較すると、以下のようになります。
経皮は皮膚を切開しているので、皮膚のたるみを同時に取ることができます。
経結膜は皮膚のたるみは取れませんが、皮膚を切開しないために術後の腫れが少ないです。
ということで、私は皮膚のたるみが少ない若年者の場合に経結膜を、皮膚のたるみが多い場合には経皮を選択しています。
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