涙管チューブ挿入術は、閉塞部位にもよりますが数年後には約半数の症例で再閉塞をきたします。
再閉塞をきたした症例では涙管チューブ挿入術を再度施行してもあまり意味がありません。
そのため、再閉塞をきたした症例のうち鼻涙管閉塞の症例では涙嚢鼻腔吻合術を施行します。
涙嚢鼻腔吻合術は英語でdacryocystorhinostomy、略してDCRと呼ばれています。
DCRは本来の涙道とは違う部位にバイパスを作成する方法で、成功率(再閉塞しない確率)は90~95%になります。
かなり高い成功率です。
つまり、
鼻涙管が閉塞している症例に対し、
鼻腔との間にある骨を少しだけ削り(歯医者さんみたいなものです)、
涙嚢を切開して開き、
涙嚢と鼻腔をつなげて((吻合して)バイパスを作成します。
DCRは、皮膚を切開する鼻外法と皮膚を切開しない鼻内法に大別できます。
もちろん鼻内法は顔に傷が残りませんからそういう意味では優れた術式なのですが、もともと鼻内のスペースが狭い症例や涙嚢の位置が高い症例は、鼻内法だとやりづらく再発する可能性も高くなります。
その場合はどうしても鼻外法に頼らざるを得ません。
「皮膚を切ると傷跡が残るからいやだ」と思われるかもしれませんが、
傷跡を「きれい」に縫う技術があればほとんど傷跡は分かりません。
これはアイキャッチ画像(一番上の写真)ですが、どこに傷があるかわかりますか?
ここ、だと思います(笑)。
思う、というのは、正直なところ手術をした自分でさえ傷跡が分かりづらい位なんです。
もちろん「きれい」に縫う技術がある場合に限ります。
局所麻酔でもしっかりと麻酔をすれば鼻外法、鼻内法共に痛みもわずかです。涙管チューブ挿入術よりも痛みは少ないです。
鼻内法の動画はこちら↓

時間:1時間強
金額:約24000円(一割負担)、約72000円(3割負担)
リスク:鼻出血、内出血、再手術、術後腫脹