今回は上まぶたの解剖のお話しです。
まぶたの横幅は3cm弱しかないのですが、とても繊細な解剖をしています。
まずは、それぞれの場所と役割です。
皮膚のすぐ下(内側)で、バウムクーヘン状に上下まぶたに分布しています。まぶたを閉じる機能があります(まぶたを閉じる筋肉はもう3つほどありりますが、これはまた別の機会で)。
まぶたを閉じる時はバウムクーヘンの中心に向かって眼輪筋が収縮するため、上下のまぶたがくっついてまぶたが閉じます。
また、まぶたの裏で作られた涙が眼輪筋の収縮により排泄されます。
つまり、眼輪筋は「ポンプ作用」も持っているわけです(詳しくはこちら)。
2. ROOF(Retro-orbicularis-oculi-fat)
眼輪筋と眼窩隔膜の間にある脂肪がROOFです。厚ぼったいまぶたをしている人はROOFが厚いことも多く、まぶたの手術をする場合に切除することもあります。
線維性の膜です。壁の役割があり、この内側にある眼窩脂肪が前に突出してこないようになっています。加齢とともに壁が薄くなると、特に目頭側の脂肪が前に突出して外見上も目頭が腫れているように見えることもあります。
これを上眼瞼脂肪脱といい、気になる場合は手術が必要です。
眼窩隔膜とまぶたを開けるための筋肉(挙筋腱膜、ミュラー筋、上眼瞼挙筋)の間に存在し、筋肉が動く時に他とぶつからず滑らかに動くような役割を持っています(潤滑油の働き)。
まぶたは、縁に瞼板(けんばん)という硬い繊維組織があります。
この中にはマイボム腺という、油を作る工場があります。
そして、マイボーム腺で産生された油は導管を通って開口部から分泌されます。
この油は眼球表面の涙液の上に塗りつけられ、BLTサンドイッチのバターのように水分(涙液)の蒸発を防いでいます。
瞼板に付着している筋肉を挙筋腱膜(きょきんけんまく)とミュラー筋といい、
これらが収縮することにより、瞼板が持ち上がりまぶたが開きます。
使用を続けているとマスクのゴム紐が伸びるように、加齢とともにこれらの筋肉もゆるみます。
そうなるとまぶたがうまく上げられなくなり、いわゆる「眼瞼下垂」の状態になります。
眼瞼下垂の時に挙筋腱膜を短縮するか、ミュラー筋を短縮するか、それとも両方短縮するか、で術式が異なります。
結膜は滑らかな組織で、まばたきをする時にまぶたと眼球がこすれないようになっています。